朧月庵

なんか書いたりします

男着物を着てみよう

はじめに

ブログを長期間放置することに定評があります。

ここ数年は、着物を着てお出かけするのが週末の趣味の一つになっている風兎です。

最近、身の回りにも和装を嗜む着物男子が増えてきて嬉しい限り。
そんな友人たちに着物をインストラクションするにあたり、自分の言葉でまとめた資料が欲しいナア…… と思ったので書きました。

素人が独自にまとめたものなので、記述の正確性は保証しかねますこと、ご承知おきくださいませ。
また、本記事では男着物についてのみ触れていますので、女性を含めた着物一般よりは狭い話をしている旨もご理解ください。

ここで自己紹介代わりにカコイイ着物コーデ写真でもお見せできればよかったのですが、
自撮りをしないタイプのオタクなので良い感じの写真が絶無。辛うじて貼れる奴を引っ張り出してきました。

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亀甲絣の袷で、インナーに丸首シャツを合わせた所謂書生風スタイルというやつですが、真昼間から麦酒を呷る絵面が全てを台無しにしています。

(なお、某所で書いたモノをブログ向けにリライトしたものです。どこかで見たことがある文だナア、と思っても、見て見ぬふりをしてください)

着物の種類

まずは前提知識として、着物の種類について説明させてください。

男着物の着衣部分は、羽織、長着(ながぎ)、襦袢(じゅばん)の三つから成っています。
それぞれ、アウター、トップス&ボトムス、インナーの役割をする部分です。

これは羽織(アウター)

これは長着(トップス)

これは襦袢(インナー)

(写真を取るときにそこまで考えていなかったので)
見切れていますが、羽織だけ着丈が太ももぐらいで、他の二つは足元まであります。
羽織と襦袢はオプションパーツで、単に着物と言った場合は長着を指すことが多いでしょう。

さて、この長着にも種類があります。袷(あわせ)、単(ひとえ)、薄物(うすもの)の三つです。
それぞれの違いを見てみましょう。

袷(あわせ)

袷とは、裏地のある着物のことを指します。

表と裏で別の布が使われていますね。
一枚の着物に二つの層があるので断熱性があり、暖かいです。
というわけで、袷は秋~初夏の寒いシーズンに着るものです。

単(ひとえ)

それに対して単は、布一枚で作られた着物です。

このように一枚布になっていて、6月、9月はこれを着ます。
そのへんで浴衣として売られているものは大体この作りですよね。
というのも、「浴衣」はお風呂上がりに襦袢(インナー)を着ずに素肌の上にまとう単を指す言葉で、単と浴衣は作りとしては同じものだからです。
ちなみに、単+襦袢の組み合わせは、着流しと言ったりします。
なので、浴衣に襦袢を合わせて着流し風に着るというアレンジもアリです。

薄物(うすもの)

さて、最後は薄物です。
こちらも作りは単と同じなのですが、生地が違います

このように、透け感のある、薄い素材で作られています。
(織り方によって絽(ろ)や紗(しゃ)といった違いもあるのですが、ここでは詳しく触れないでおきます)

先ほどの単と比べると一目瞭然、めっちゃ透けます。
めっちゃ透けるので、こちらは浴衣着にはせず襦袢などのインナーを着るのが必須です。
ちなみに上の方で出した写真の長襦袢は冬用のもので、夏用にはより目の粗い麻製のものなんかを着ます。

その代わり通気性が非常によく、目にも涼やかです。
7~8月の盛夏にはこちらを着ます。

で、結局どれを着ればいいの?

お疲れ様でした。
これで男着物の長着については大体マスターです。

で、結局どれを着ればいいかについてですが、一応、お着物のお約束事としてこんなカレンダーがあります。
(前節の着る時期の説明はこちらに従っています)

  • 10月~5月:袷
  • 6月, 9月:単
  • 7~8月:薄物

あるにはあるんですが、カジュアルに着るなら、このカレンダーをキッチリ守らなくても全然オッケーだと思ってます。

夏真っ盛りに薄物を着ていなくても、変な目で見られることなんてありません。
極端な話、暑かったら単、寒かったら袷、もっと寒かったら羽織も羽織る!で問題ないと思っています。

というわけで、着てみたい!と思った時期が秋冬なら袷、春夏なら単の着物を探してみましょう。

これさえあれば大丈夫!夏の男着物ミニマムコーデ

袷の着物の場合、初めての方は長着と羽織が一揃いになった着物のセットを探すと良いでしょう。
アンサンブル、といった商品名になっていることも多いです。
モノによっては襦袢、足袋、草履、信玄袋など小物も一セットになっていることも。

単の場合、セット商品もありますが、古着屋で単独で扱っていることも多いので、入門用にはオススメです。
先程の説明だと、単を着て外出するから襦袢も買わなくてはいけない?となるところですが、こちらも必須じゃありません。

浴衣に襦袢を合わせて着流し風に着るというアレンジがありなら、その逆もあり。
単を浴衣風に着てみましょう
というわけで、今回のコーデはこちら!

  • 長着:単(\15,000+tax, min:8,000~)
  • 肌着:Vネックシャツ+ステテコ(大体 \2,000)
  • 帯:腰ひも+角帯( \12,000+tax, min:\4,000~)
  • 履物:雪駄(\5,000+tax, min:\1,000~)

(姿見が無いと自撮りが難しすぎる)
参考に、それぞれのアイテムの大体ミニマムな値段も書いておきました。
ざっくり15,000円ほどあれば夏着物で出歩ける計算です。

単は生地の前の方でも紹介した、綿麻の色無地のものです。
ご存じの通り着物の値段はピンキリなのですが、ちゃんと単になっているものは7~8,000円出せば手に入るイメージです。

また、いくら浴衣風とはいっても、汗を着物に直接吸わせるのはよくないので、肌着は着ておきましょう。
洋服用の、普通の下着で大丈夫です。ただし襟元から覗くとカッコ悪いので、丸首は避けてVネックに。
下半身はパンイチでもいいのですが、所詮一枚布なので透けるときは透けるのと、太ももに汗をかくと着物がべたついて歩きにくいので、ステテコを履くのがオススメです。
どちらもユニクロで1000円未満で買えますね。

腰ひもはこんな感じのやつ。
1000円未満で買えます。

角帯はこんな感じのやつです。

今回使ったのは左の縮緬っぽい縞柄とからし色の格子模様のリバーシブルのもの。
表裏で雰囲気が違うので色々な着物に合わせられるお気に入りの一本です。

帯の値段はピンキリなので一概にこれとは言えないのですが、真ん中の薄緑の帯は献上帯というポピュラーな柄で、無難な色の帯を一本持っておくと何にでも使えて便利です。この商品は3000円ぐらいだったと思います。腰ひもの役割は着物を固定すること。
角帯は、その上から腰ひもの補助+装飾として締めます。

角帯の結び方なんかも一見ハードルが高そうですが、男性なら「貝ノ口結び」という結び方を一つ覚えればそれで大丈夫です。
初見だと難しそうですが、ネクタイ結べるなら何回かやればすぐ慣れるはずです。

貝ノ口結びの説明動画:https://www.youtube.com/watch?v=je8LTygCYto

自分がやるとこんな感じになります。

まず腰骨の下あたりで腰ひもを締めて、

こう。
ちょっと不格好ですが、ふわっとしていてかわいいですね。
裸の状態から2分ほどでここまで来れます。

履物は……、それだけで一記事書けてしまいそうなので、ここでは紹介だけに留めます。
自分はこんな感じの、パナマ織りでゴムソールの雪駄を愛用しています。

それっぽく見えればサンダルでもいいので、その辺の靴屋さんで1000円あたりから買えますね。

足袋については、夏なのでなくても良いと思います。
欲しい場合は、明るめな色のストレッチ足袋を買うとよいでしょう。
2000円未満で買えると思います。

着物、どこで買う?

なかなか新品をお仕立てする機会はないので、自分は古着屋がメインです。
記事冒頭の袷なんかはネット通販で中古品を買いました。
自分のサイズさえ知っておけば問題なく通販できます。このあたりは洋服と同じですね。

とはいえ、流石に初心者にそこからさせるのは無謀というもの。
なにより服なので、実際に手元で身体に合わせてみるのが一番大事です。

都内でのオススメは、上野にある藤木屋さんです。
https://www.fujikiya-kimono.com/

既製品の取り扱いがほとんどなので、今回紹介した予算感で一式そろえることができます。
店員さんは皆着物を"カジュアルに"着こなしている方々ばかりなので、もっと楽しく、遊びながら和装をしてみたい!という相談にも乗ってくれます。

おわりに

元の文章を真夏に書いたので、ミニマムコーデが本当に最低限の内容になってます。
秋口も見えてみたので、今着るなら襦袢や記事冒頭の他撮りのようなスタンドカラーTシャツをインナーにすると良さそうです。

襦袢はハードル高いけど、襟元はきっちり見せたいなあ……、という方には襦袢襟のTシャツなんかもあります。 
→ 

www.kimono-factory.com