男着物を着てみよう
はじめに
ブログを長期間放置することに定評があります。
ここ数年は、着物を着てお出かけするのが週末の趣味の一つになっている風兎です。
最近、身の回りにも和装を嗜む着物男子が増えてきて嬉しい限り。
そんな友人たちに着物をインストラクションするにあたり、自分の言葉でまとめた資料が欲しいナア…… と思ったので書きました。
素人が独自にまとめたものなので、記述の正確性は保証しかねますこと、ご承知おきくださいませ。
また、本記事では男着物についてのみ触れていますので、女性を含めた着物一般よりは狭い話をしている旨もご理解ください。
ここで自己紹介代わりにカコイイ着物コーデ写真でもお見せできればよかったのですが、
自撮りをしないタイプのオタクなので良い感じの写真が絶無。辛うじて貼れる奴を引っ張り出してきました。
亀甲絣の袷で、インナーに丸首シャツを合わせた所謂書生風スタイルというやつですが、真昼間から麦酒を呷る絵面が全てを台無しにしています。
(なお、某所で書いたモノをブログ向けにリライトしたものです。どこかで見たことがある文だナア、と思っても、見て見ぬふりをしてください)
着物の種類
まずは前提知識として、着物の種類について説明させてください。
男着物の着衣部分は、羽織、長着(ながぎ)、襦袢(じゅばん)の三つから成っています。
それぞれ、アウター、トップス&ボトムス、インナーの役割をする部分です。
これは羽織(アウター)
これは長着(トップス)
これは襦袢(インナー)
(写真を取るときにそこまで考えていなかったので)
見切れていますが、羽織だけ着丈が太ももぐらいで、他の二つは足元まであります。
羽織と襦袢はオプションパーツで、単に着物と言った場合は長着を指すことが多いでしょう。
さて、この長着にも種類があります。袷(あわせ)、単(ひとえ)、薄物(うすもの)の三つです。
それぞれの違いを見てみましょう。
袷(あわせ)
袷とは、裏地のある着物のことを指します。
表と裏で別の布が使われていますね。
一枚の着物に二つの層があるので断熱性があり、暖かいです。
というわけで、袷は秋~初夏の寒いシーズンに着るものです。
単(ひとえ)
それに対して単は、布一枚で作られた着物です。
このように一枚布になっていて、6月、9月はこれを着ます。
そのへんで浴衣として売られているものは大体この作りですよね。
というのも、「浴衣」はお風呂上がりに襦袢(インナー)を着ずに素肌の上にまとう単を指す言葉で、単と浴衣は作りとしては同じものだからです。
ちなみに、単+襦袢の組み合わせは、着流しと言ったりします。
なので、浴衣に襦袢を合わせて着流し風に着るというアレンジもアリです。
薄物(うすもの)
さて、最後は薄物です。
こちらも作りは単と同じなのですが、生地が違います
このように、透け感のある、薄い素材で作られています。
(織り方によって絽(ろ)や紗(しゃ)といった違いもあるのですが、ここでは詳しく触れないでおきます)
先ほどの単と比べると一目瞭然、めっちゃ透けます。
めっちゃ透けるので、こちらは浴衣着にはせず襦袢などのインナーを着るのが必須です。
ちなみに上の方で出した写真の長襦袢は冬用のもので、夏用にはより目の粗い麻製のものなんかを着ます。
その代わり通気性が非常によく、目にも涼やかです。
7~8月の盛夏にはこちらを着ます。
で、結局どれを着ればいいの?
お疲れ様でした。
これで男着物の長着については大体マスターです。
で、結局どれを着ればいいかについてですが、一応、お着物のお約束事としてこんなカレンダーがあります。
(前節の着る時期の説明はこちらに従っています)
- 10月~5月:袷
- 6月, 9月:単
- 7~8月:薄物
あるにはあるんですが、カジュアルに着るなら、このカレンダーをキッチリ守らなくても全然オッケーだと思ってます。
夏真っ盛りに薄物を着ていなくても、変な目で見られることなんてありません。
極端な話、暑かったら単、寒かったら袷、もっと寒かったら羽織も羽織る!で問題ないと思っています。
というわけで、着てみたい!と思った時期が秋冬なら袷、春夏なら単の着物を探してみましょう。
これさえあれば大丈夫!夏の男着物ミニマムコーデ
袷の着物の場合、初めての方は長着と羽織が一揃いになった着物のセットを探すと良いでしょう。
アンサンブル、といった商品名になっていることも多いです。
モノによっては襦袢、足袋、草履、信玄袋など小物も一セットになっていることも。
単の場合、セット商品もありますが、古着屋で単独で扱っていることも多いので、入門用にはオススメです。
先程の説明だと、単を着て外出するから襦袢も買わなくてはいけない?となるところですが、こちらも必須じゃありません。
浴衣に襦袢を合わせて着流し風に着るというアレンジがありなら、その逆もあり。
単を浴衣風に着てみましょう。
というわけで、今回のコーデはこちら!
- 長着:単(\15,000+tax, min:8,000~)
- 肌着:Vネックシャツ+ステテコ(大体 \2,000)
- 帯:腰ひも+角帯( \12,000+tax, min:\4,000~)
- 履物:雪駄(\5,000+tax, min:\1,000~)
(姿見が無いと自撮りが難しすぎる)
参考に、それぞれのアイテムの大体ミニマムな値段も書いておきました。
ざっくり15,000円ほどあれば夏着物で出歩ける計算です。
単は生地の前の方でも紹介した、綿麻の色無地のものです。
ご存じの通り着物の値段はピンキリなのですが、ちゃんと単になっているものは7~8,000円出せば手に入るイメージです。
また、いくら浴衣風とはいっても、汗を着物に直接吸わせるのはよくないので、肌着は着ておきましょう。
洋服用の、普通の下着で大丈夫です。ただし襟元から覗くとカッコ悪いので、丸首は避けてVネックに。
下半身はパンイチでもいいのですが、所詮一枚布なので透けるときは透けるのと、太ももに汗をかくと着物がべたついて歩きにくいので、ステテコを履くのがオススメです。
どちらもユニクロで1000円未満で買えますね。
腰ひもはこんな感じのやつ。
1000円未満で買えます。
角帯はこんな感じのやつです。
今回使ったのは左の縮緬っぽい縞柄とからし色の格子模様のリバーシブルのもの。
表裏で雰囲気が違うので色々な着物に合わせられるお気に入りの一本です。
帯の値段はピンキリなので一概にこれとは言えないのですが、真ん中の薄緑の帯は献上帯というポピュラーな柄で、無難な色の帯を一本持っておくと何にでも使えて便利です。この商品は3000円ぐらいだったと思います。腰ひもの役割は着物を固定すること。
角帯は、その上から腰ひもの補助+装飾として締めます。
角帯の結び方なんかも一見ハードルが高そうですが、男性なら「貝ノ口結び」という結び方を一つ覚えればそれで大丈夫です。
初見だと難しそうですが、ネクタイ結べるなら何回かやればすぐ慣れるはずです。
貝ノ口結びの説明動画:https://www.youtube.com/watch?v=je8LTygCYto
自分がやるとこんな感じになります。
まず腰骨の下あたりで腰ひもを締めて、
こう。
ちょっと不格好ですが、ふわっとしていてかわいいですね。
裸の状態から2分ほどでここまで来れます。
履物は……、それだけで一記事書けてしまいそうなので、ここでは紹介だけに留めます。
自分はこんな感じの、パナマ織りでゴムソールの雪駄を愛用しています。
それっぽく見えればサンダルでもいいので、その辺の靴屋さんで1000円あたりから買えますね。
足袋については、夏なのでなくても良いと思います。
欲しい場合は、明るめな色のストレッチ足袋を買うとよいでしょう。
2000円未満で買えると思います。
着物、どこで買う?
なかなか新品をお仕立てする機会はないので、自分は古着屋がメインです。
記事冒頭の袷なんかはネット通販で中古品を買いました。
自分のサイズさえ知っておけば問題なく通販できます。このあたりは洋服と同じですね。
とはいえ、流石に初心者にそこからさせるのは無謀というもの。
なにより服なので、実際に手元で身体に合わせてみるのが一番大事です。
都内でのオススメは、上野にある藤木屋さんです。
→ https://www.fujikiya-kimono.com/
既製品の取り扱いがほとんどなので、今回紹介した予算感で一式そろえることができます。
店員さんは皆着物を"カジュアルに"着こなしている方々ばかりなので、もっと楽しく、遊びながら和装をしてみたい!という相談にも乗ってくれます。
おわりに
元の文章を真夏に書いたので、ミニマムコーデが本当に最低限の内容になってます。
秋口も見えてみたので、今着るなら襦袢や記事冒頭の他撮りのようなスタンドカラーTシャツをインナーにすると良さそうです。
襦袢はハードル高いけど、襟元はきっちり見せたいなあ……、という方には襦袢襟のTシャツなんかもあります。
→
2020年も残り10分ぐらいだし、遅まきながら新生活1年目を振り返ってみる。
(スマホから投稿しているので、レイアウトが変です。気が向いたら直します)
お久しぶりの方はお久しぶりです。
大晦日ということで、どれ今年1年を振り返ってみるか…… と筆を取りましたが、なんと1年半ぶりの投稿になるとか。
新生活1年目の今年(2020年)もそうでしたが、そういえば去年(2019年)の後半も大詰めを迎えた研究活動に忙殺されており、腰を据えて取り組むような趣味には手をつけられていなかったのでした。
ということで早速表題詐欺。
1年半をざっと振り返っていきます。
2019年6〜10月
一通り来年の身の振り方が決まり、後は学位論文を残すばかり、となった頃です。
とはいえ諸事情により研究論文を作る体勢は整っておらず、参画していたプロジェクトの海外発表準備をしておりました。
詳細には書きませんが、普段の工学系の研究会とは全く異なる発表の場であり、とても得難い経験をさせていただけました。
会場が英国ということもあり、あと半年ずれていたらどうなっていたことか……
趣味方面では、8月のコミケでいつもの高専カンファレンス本に寄稿しています。(ちなみに題字をお習字経験者の弟に書かせました)
https://twitter.com/VentArgente/status/1160133312079253504
「スマホで魔法界を覗くには-前編- 」という題目で、スマホ+カメラでARコンテンツを「現実に存在してるっぽく」描画するための基本的な考えについて説明しました。
(ピンホールカメラモデルによる被写体と撮像結果の対応関係、透視投影モデルの導入、世界座標系とカメラ座標系の対応計算、程度の内容)
基本的と言いつつ、高専低学年の線形代数レベルの行列演算を書いたので数式苦手な人はそっ閉じしたかも…… 続編を書くかは未定です。
他の寄稿は全て私の知人に依頼したのですが、皆濃い内容を書いてくれたので、私の記事をそっ閉じした方も、そちらで楽しんでいただけたことと思います。
なお本稿中でさんざん「ポケモンGO」をネガっているのですが、先述の英国旅行に際し海外限定ポケモンを捕獲するためにインストールし、無事どハマリしたことが本節のオチです。
2019年11月 〜 2020年3月
研究論文としての進捗作りに明け暮れておりましたね。
自分個人の成果を後回しにする悪癖があり、ずるずると牛歩戦術で勧めていた結果、年末〜学位審査直前まで壮絶な思いをするハメになりました。
私自身が死ぬ分には良いのですが、付き合ってくださった指導教官や学友には頭が本当にあがりません。その節はご迷惑をおかけしました……
(なお高専時代もこんなノリだったので、あまり反省はできていない)
こうして無事(?)1つの学問を修めることができたわけですが、やはり自分は人間のためになるシステムを作り、技術で問題解決のソリューションを提供する…… のが性に合っているなと改めて認識しました。
研究はあんまり向いてないや……!
同人では、第9回科学世紀のカフェテラスに参加していました。
個人での新刊はありませんでしたが、白幡さん( 白幡 Shirahata (@kschocobeer) | Twitter )主催の合同誌「秘封民間伝承合同企画 不思議の在り処 」に小説を一篇と、ひとひらさん( ひとひら@エアコミケ (@allenemy) | Twitter )の突発本「えいけつのよる」に写真を一葉寄稿しています。
特に白幡さんの企画は、第一弾を読み手側で手に取り非常に感銘を受けていたので、書き手側で参加できたのは望外の幸せでした。
寄稿作は「水と神と人と」。常陸國風土記に登場する蛇神、夜刀神をテーマにした短編です。
並み居る歴戦の作家さんと比するとやはり力不足が目立ちますが、なんとか伝奇っぽい秘封倶楽部が表現出来たので気に入っています。
おどろおどろしく、緊迫感のある挿絵を描いてくれた錆烏さん( 錆烏🦉 (@Rust_out_1) | Twitter )に感謝。
また、C97 ではいつもの高専カンファレンス本のまとめ本を出してました。
夏に出した前編が収録されちゃってるんだけど、いいのか……💦
https://twitter.com/VentArgente/status/1203633380992024576?s=19
2020年4月〜12月
というわけで、新生活です。
新しい職場については…… まあ色々ありました。
(色々ありすぎてとてもじゃないけど書けない……)
ただ、今までアカデミックの世界にしかいなかった自分ですが、タスクの進め方や諸々の社会的対応が特に問題なく通用したので、あまり仕事方面での辛みは起こりませんでしたね。
疫病に伴うリモート業務対応により、上司の方からのケアが手厚かったのは助かりました。
また、身分の変更に伴い、初めての一人暮らしをすることになりました。
これまで家事には主体的に手を付けたことがなかったので不安でしたが、やってみればなんとかなるもので。
むしろ自分しかやる人がいない&リモートで日中家にいるので、割とまめにやっています。
特に料理は、割と性に合っていたようです。
炒飯、パスタ、麻婆豆腐、自炊男子初心者セットを中心に、楽しみながら作れています。
惜しむらくはキッチンの設備がIH1口のみと貧弱なこと。なんとかやりくりしながら、次の引っ越しでは広いキッチンを手に入れたいなと画策しています。
見事に茶色いな……
野菜類はカット野菜でだいたい済ましてます。
趣味方面では、残念ながら同人活動はできませんでした。
(売り子は一回やった)
毎年の楽しみであった京都秘封も中止になっちゃいましたしね。
加えて趣味の開発活動もできていないので、職業えんじにゃーは失格ですね……
代わりといってはなんですが、ミゾヲチくん( ミゾヲチ (@contender41) | Twitter )の新居、ゾ邸に入り浸っていました。
ゾ邸について詳しくはこちら。
ミゾヲチくんとは秘封lain合同をはじめ(そういえば、これも結局記事書いてないな、書くか)数年前から親交がありましたが、まさか首都圏に古民家を見つけてきて、そこへの引っ越しを手伝うような仲になろうとは(?)
詳細は彼の記事を見てほしいのですが、古民家の自室に多量の人形やお面を備え付けたり、洋風の応接間を独特の世界観(近世ヨーロッパ/日本からみた"間違った世界観")で驚異の部屋と化したり、とかく見ていて飽きません。
しばらくはゾ邸の改造も止まらないでしょうし、退屈せずに済みそうです。
ミゾヲチくん関係といえば、着物を買い揃えたのも彼の影響です。
左がミゾヲチくんで、右が私。
きっかけはミゾヲチくんの note、「古民家に住んでいる話19」にあるとおり。
ゾ邸の雰囲気的には、和装こそドレスコードである……
という話をするだけして買うのを渋っていたら、はじめてゾ邸に来るお客様、みこう悠長先生( みこう悠長 (@y_mikou) | Twitter )が和装でいらしたのである!しかも我々には内緒で!
この突然のサプライズのおかげで、私は一人だけ洋装、甚だしい勘違い野郎としてオフ会を過ごすハメになってしまったのだった。これは由々しき事態!
……ということがあり、遅まきながら着物を買い求めることにしたのでした。
幸い実家で多少教わっていたので、適当に丈を測り、中古の着物を注文することに。
で、買ったのがこれ。
(画像は後で貼ります)
緑がかった濃グレーの紬で、着物とアンサンブルの羽織に長襦袢のセットでした。
思った以上に似合っており(自画自賛)、とても気に入っています。
後日買い揃えた角袖コートを合わせたのが節冒頭の画像で、基本のコーデです。
現代和装を調べたりお店に通ううちいろいろな知識を得たので、このあたり、実践を重ねて別に記事を書いてみようと思います。
2021年を見据えて
とここまで書いて、年が変わる20分ほど前になりました。
そろそろまとめましょう。
2020年は未曾有の疫病が蔓延し、これまでとは根本的に異なる生活様式へと切り替わった年でした。
実はちょこちょこ出かけていたのですが、世相もありわざわざ記事にはしていません。
来年は、もう少しこの災禍が和らいでいることを祈ります。
また、来年は公私ともにより充実した1年にしていこうと思います。
本業はもちろん将来を見据えてこれまで以上にがんばるとして、同人活動についても、1年の新生活を通じてなんとなく按分もわかったので、徐々に復帰していきたいと思います。
一先ずは、3月21日。
静岡ツインメッセで行われる、第十八回博麗神社例大祭に申し込んでいます。
風兎 on Twitter: "2021年3月21日にツインメッセ静岡で開催予定のイベント「第十八回博麗神社例大祭」へサークル「波兎望楼」で申し込みました。… "
今のところスペースはいただけるようですので、久しぶりの新刊をお届けできるよう、鋭意制作活動に取り組んでいく所存です。
それではこのへんで。
皆様、良いお年を。
加波山に登ってきた話
某都道府県魅力度ランキングにて万年最下位の勇名を馳せる茨城県。
ですが、それは今様な人々がレジャー・行楽に遊ぶスポットに乏しい*1だけの話。
その道の人間を満足させるディープなスポットというのは、存外多く在るのです。
今回は、そんなスポットの一つ「加波山」に登ってきました。
加波山は茨城県最北部から続く「八溝山地」の最南端、十数峰から成る「筑波山塊」の一枝峰であり、主峰筑波山(877m)に続いて二番目の高さ(709m)の御山です。
この筑波山塊に属する山々では旧くから山岳信仰が盛んであり、特に加波山は茨城県全域~栃木県、埼玉県の一部を含む広大な信仰圏を有した「加波山信仰」で有名なのだとか。
幕府の庇護を受け隆盛した筑波山*2に対し、自力で収入を得る必要があった*3加波山の寺社は、
という2つの要素を中心に積極的な布教活動を行い、広範に知られる存在となったようです。
お社の形態としては三種類、
- 「山宮」:山頂付近に存在する本殿、および拝殿。
- 「石宮」:山中に存在する巨岩・奇石の霊場、禅定場。
- 「里宮」:村落内に存在する社殿。
があります。
また一口に「加波山神社」と言っても、出自の異なる3系統の「加波山神社」が存在しています。
それぞれ「本宮」「親宮」「中宮」と呼ばれており、山頂付近にはそれぞれの本殿、拝殿があるようです。
このうち里宮については大正期に親宮が本宮の管理となり、本宮の里宮が親宮のそれを兼ねる形となったため、本宮・親宮の里宮と、中宮の里宮の2箇所が現存しています。
さらにさらに、本宮・親宮を纏めた「加波山三枝祇神社」*5は中宮こと「加波山神社」とは対立関係にあり、例えば中宮の里宮の境内には「昨今、当神社の社名を不正に使い参拝者を惑わす神社が有りますので注意してください。」なる物々しい立て札があったり......
うーん、ややこしい......
ちょうど良い感じに整理してくださっている方のサイトを見つけました。
中宮は八郷の方にも里宮があるようなので、そのうち行ってみます。
御祭神を並べてみますと、
- 伊奘冊大神
- 速玉男大神
- 事解男大神(※熊野権現)
- 天津比古根神(※茨城国造の祖神)
- 建許呂神(※茨城国造の祖)
- 八雷神
- 高龗神
- 闇龗神
- 荒沢大神(※アラサワサン、荒沢不動明王)
- 岩切大神(※イワキリサン、イヅナサマ、岩切伊綱大権現とも。大天狗として扱われている)
といった面々。
よくある山岳信仰の御山のお社っぽい面子に、当地縁の神格やらを混ぜた感じですね。
八雷神、高龗神、闇龗神、とある所から、治水と祈雨の神社といった側面もありそうです。
それらに加え、修験道の霊場としてだけでなく、殖産神や除災神としても信仰されていたと考えられています。
現代に残る祭事のうち、冬至に行われる火渉祭にその面影を窺うことができるでしょう。
さて、前置きがだいぶ長くなりました。
例によって画像が多めですので、閲覧環境にはお気をつけください。
- 加波山神社(中宮) 里宮
- 加波寝不動明王(寝不動尊)
- 天狗之庭
- 加波山神社本宮参道その1
- 林道
- 加波山神社本宮参道その2
- 加波山三枝祇神社(本宮) 山宮
- 石宮その1
- 加波山神社(中宮) 山宮本殿
- たばこ神社・加波山三枝祇神社(親宮) 山宮
- 石宮その2
- 加波山神社(中宮) 山宮拝殿
- 加波山神社中宮参道
- 参考文献
*1:万人向けでかつ"茨城県特有"の観光地が少ない、あるいは不便な所にあるというのは概ね認める所。
*2:もちろん神社や修験道の施設としてではなく、筑波山知足院中禅寺という寺社として庇護された。こちらは明治の廃仏毀釈運動に伴い一部を除いて破壊され、現在は坂東三十三箇所「大御堂」のみ残る。
*3:慶安元年に樺山権現領として100石が認められているが、とてもではないが寺社組織の運営には足りない。ちなみに筑波山は5代将軍綱吉の頃には寺領1,500石を数えている。
*4:山先達。十年間の修業の後、宮司の面接を受けた上で免許が与えられた者で、加波山神社に係る祭祀を担う他、講中や巡幸先で求めに応じて病気祈禱や地鎮祭などの一般的な祈禱師の職務に従事した。
*5:かばさんさえなづみじんじゃ
2018年秋京都の旅
去る2018年11月9~11日にかけて、例によって京都に行ってまいりました。
すっかり記事にするのを忘れており、半年も経ってしまいました......
いや、この件はいつもやっていますが、今回は輪をかけて酷い(遅い)ですね、スミマセン。
というのも2018年下半期以降、同人活動、研究活動、就職活動と重いタスクが続き、なかなかこちらに手を付けられなかったという事情があります。
このうち2/3については落ち着いたので、「このままでは平成が終わってしまう、書くなら今だ!」と筆を取った次第です。
......嘘です、例大祭の原稿が進まないので逃げてきました。
閑話休題。
今回の旅の目的は、なんと「科学世紀のカフェテラス」にサークル参加することです。
一般参加や、お手伝いとしての売り子参加はありましたが、サークルとして同人イベントに参加するのは初めてでした。
サークル名は「八雲総研」。
以前の記事にも登場したミゾヲチ君を発起人として「秘封倶楽部」と「serial experiments lain」のクロスオーバー合同誌を作成することとなり、合同用サークルを立ち上げた、という流れになります。
→ ちなみに、ミゾヲチ君が登場する以前の記事はこちら。
hazymoon.hatenablog.jp
この合同誌については語りたいことが非常に沢山ありますので、別に記事を立てることとして、
本記事ではこの3日間の京都旅について書いていこうと思います。
つまりいつもの奴です。
京都旅行と言えばそう!京都秘封ランドスケープですね。
今回もいくつか巡ってきました。
→ 京都秘封ランドスケープについてはこちら
hazymoon.hatenablog.jp
というわけで、いつものごとく行きましょう。
- 11/9
- 11/10
- 11/11
- 科学世紀のカフェテラス
- 後夜祭
2018年夏京都の旅
去る2018年8月25、26日に、例によって京都に行ってまいりました。
(すっかり記事にするのを忘れており、3ヶ月も経ってしまいました......)
今回の目的は、25日に行われる高専カンファレンスin京都に参加することです。
→ 高専カンファレンス in 京都 - 高専カンファレンス Wiki
こちらは、豪雨災害のために中止となってしまった高専カンファレンスin京都七夕
→ 高専カンファレンス in 京都七夕 - 高専カンファレンス Wiki
のリトライとして開催されたもので、舞鶴2カンファ以来、1年ぶりに京都の高専生たちに会える機会なのでした。
→ 高専カンファレンスin舞鶴2 の様子はこちら
hazymoon.hatenablog.jp
そして、京都といえば、もちろん周るべきところがありますね?
そう、おなじみ、京都秘封ランドスケープです。
一応、ランドスケープポイントを周り終えてはいるのですが、撮影ミスや季節限定イベントを回収しきれていないので、私のランドスケープ巡礼はまだ終わっていないのです......
→ 京都秘封ランドスケープについてはこちら
hazymoon.hatenablog.jp
では、盛夏の京都を巡っていきましょう。
- 8/24
- 8/25
- 8/26
2018年 宮守・遠野の旅 2日目 -白望山登山編-
去る2018年の5/22~5/24にかけて、宮守・遠野に行ってきました。
22日の深夜にネオイバラキを発ち、23日の日の出頃に現地着。
宮守と遠野を探索し、1日目を終えた所です。
宮守探索の様子はこちら。
遠野探索の様子はこちら。
さて2日目は、旅の共連れミゾヲチ氏とは別行動。
白望山を目指します。
白望山、あるいは白見山は、遠野北東部に位置する標高1,168mの山です。
遠野物語には六十四*1等、いくつかのお話に登場するので、ご存知の方も多いと思います。
そして咲-Saki-クラスタにはおなじみ、小瀬川白望さん*2のお名前の元ネタとなった(であろう)お山です。
いやまあ、遠野物語はともかく、咲-Saki-の方は名前の元ネタになった(と思われる)だけで、
作中には一切登場していないのですが、そんなことは些細なことですね。
さあ、シロに会いに、山に登っていきましょう。
*1:所謂「マヨヒガ」の話
*2:小林立による本格美少女麻雀漫画、咲-Saki-に登場するキャラクター。作中の第71回全国高等学校麻雀選手権大会には岩手県代表「宮守女子高校」の先鋒として出場し、片岡優希(清澄高校)、上重漫(姫松高校)、神代小蒔(永水女子)の三名と激闘を繰り広げた。麻雀における能力は「迷うと手が高くなる」。先述の「マヨヒガ」のお話を絡めてデザインされたキャラクターと思われる。
2018年 宮守・遠野の旅 1日目 -遠野巡り編-
去る2018年の5/22~5/24にかけて、宮守・遠野に行ってきました。
22日の深夜にネオイバラキを発ち、23日の日の出頃に現地着。
そのまま早朝の宮守探索を終えた所です。
宮守探索の様子はこちら。
というわけで、午前中は遠野市を巡ります。
前記事では宮守にしか興味が無いような書き方をしていましたが、
全くそんなことはありません。
咲-Saki-以前から遠野物語は読んでいましたし、東方クラスタ的にはデンデラ野も抑えておきたい。
民話のふるさとという事で、もちろん一度は行ってみたい場所なのでした。
実は1歳だか2歳だかの頃に行ったことがあるらしいのですが、当然憶えていません...
例によって画像が多いので、閲覧環境にご注意ください。